事業成長につながる「人事制度の設計方法と運用方法」とは?〜人事と事業を行き来した実務家たちに聞いてみよう!〜
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こんにちは、FirstHR編集部です。
2025年11月26日(水)、FirstHR主催のリアルイベント”事業成長につながる「人事制度の設計方法と運用方法」とは?”を開催しました。
当日は、初めて人事制度設計に取り組む人事担当者から、制度改定を検討中の経営者まで約50名が来場。
「制度はあるが、事業成長に結びついていない」「何から手を付ければよいかわからない」
――そんな多くの企業が抱える“人事制度のリアルな悩み”を起点に、濃密な議論が展開されました。
人事制度は、企業成長を支える重要なインフラである一方で、設計と運用を誤れば、かえって組織の成長を阻害してしまうという難しさも孕んでいます。
今回は、事業と人事の両方を経験し、複数社で制度設計・運用を担ってきた実務家を迎え、「事業成長につながる人事制度」とは何かを、実践知ベースで深掘りしました。
※本記事の内容は、すべてイベント開催当日時点の情報です。
目次
登壇者・モデレーター紹介
【登壇者】
株式会社プレイド
Head of HRBP 宮本 和典 様
2007年4月に新卒でエン・ジャパンに入社し、法人営業と人事企画を経験後、サイバーエージェントFX→ランサーズ→ウェルスナビの3社で人事責任者を経験。
2020年4月にビジネスサイドでプレイド入社。カスタマーサクセスのTeam Headを経て現職。人事コミュニティ「ぼっち人事の会」主催。
Professional Studio株式会社
取締役 FirstHR事業責任者 兼 コーポレート担当 秋元 優喜
2010年6月株式会社うるるに入社し、SaaS事業「入札情報速報サービスNJSS」の事業部長、経営管理部長、執行役員 人事総務部長などを経て、執行役員CHRO 兼 人事部長を担当。10名→上場→400名の組織づくりを担う。
うるる社時代、10年以上に渡り、事業・組織フェーズの成長にあわせて、適時、人事制度設計/改定を実施。
2023年4月にProfessional Studio入社後は、規模感も業種も多種多様な企業様の人事制度の設計・運用の伴走支援を実施。
東京都立大学大学院 経営学研究科修了(MBA)。専門領域は経営組織、ヒューマン・リソース・マネジメント、意思決定
【モデレーター】
株式会社インタースペース
執行役員 HR戦略推進室 室長 小林 剛士 様
新卒で入社した株式会社ノバレーゼにてウェディングプランナーを2年、楽天株式会社にてECコンサルタントを3年弱、独立事業経営を半年。
2012年に株式会社インタースペースに中途採用担当として入社。以降は採用を中心に教育、制度作りなどを経て人事部門のマネジメントを担当。
現在は執行役員HR戦略推進室長として、各部門の管理職・事業責任者層向けのコーチングと組織戦略推進をおこない、経営陣と全社の人事戦略推進を行っている。
プライベートでは、約2,500人が参加する人事向け勉強会「人事ごった煮会」の二代目代表を務めている。
※ここからは実際にイベント内で話された内容をダイジェストでお届けします!
まずは全体像から――人事制度の設計と運用の概論
イベント冒頭では、Professional Studioの秋元より「人事制度の設計方法と運用方法 概論」 が語られました。
等級・評価・報酬という人事制度の基本構造から、各制度の役割、代表的な評価手法のメリット・デメリット、さらには昇格・昇給基準や評価運用で最も重要なポイントまで。
人事制度の全体像を、わずか15分で俯瞰できる濃密なインプットに、会場の参加者も一気に引き込まれていきます。

制度設計の出発点は「事業戦略」である
続くメインコンテンツは、パネルディスカッション。
テーマは、まさに本イベントの核心である、”事業成長につながる人事制度の「設計方法」とは?”です。
モデレーターの小林氏の巧みな進行で場が温まり、最初にマイクが向けられたのは秋元。

そこで語られたのは、極めてシンプルで、しかし本質的な一言でした。
「制度設計の出発点は、常に“事業戦略”です」
3〜5年後の事業戦略を見据え、その実現にあたって立ちはだかる事業課題は何か。そして、その課題を解決できる 「求める人材像」とは何か。
求める人材に発揮してほしい行動・能力を明確にし、等級 → 評価 → 報酬 の順で制度を設計していく。この順序を誤ると、どれほど制度を精緻に作っても、事業成長には結びつかないとのことです。

人事の話でありながら、終始「事業」「事業」という言葉が飛び交うのが印象的でした。それは、人事だけでなく事業での経験も長く、事業を成長させてきたからこその説得力でした。
育成を起点にした「セルフチェック」という発想
続いて宮本氏から紹介されたのは、自身がカスタマーサクセスのマネジメント時代に活用していた 「CSセルフチェックシート」。
必要な知識・スキルを細かく可視化し、「できていること」「これから伸ばすべきこと」が一目でわかる設計です。

これは自己評価でありながら、目的はあくまで育成です。評価は“結果”であり、本当に重要なのは「評価を通じて、いかに人を成長させられるか」です。

人事と事業を行き来してきた実務家だからこそ語れる、現場目線のリアルな知見に、会場からも大きな頷きが見られました。
運用の肝は「評価納得感」に尽きる
続くテーマは、事業成長につながる人事制度の「運用方法」とは?です。

結論は、登壇者二人ともほぼ一致しており、「評価納得感を、いかに高められるか」でした。設計段階で求める人材像が明確になっていれば、運用フェーズでやるべきことはシンプルです。
- できていることは、承認する
- できていないことは、指導・育成する
その繰り返しを、事実ベースで行うこと。
秋元からは、「月1回でいいので、評価基準に基づいたGood / More / Next Action の対話を行うこと」が強く提唱されました。実際に評価基準に基づいた行動ができていれば「求める人材像」に近づいていっているわけで、それは事業戦略につながることになります。

そして何より大事な評価納得感が、月に1回は評価基準に対する事実ベースでの行動に対しての話を上長とメンバーで行っているので、評価時期には言わなくてもわかっているという評価の理想的な評価納得感の状態にさえなれるのです。
評価の時期になって初めて「これができてなかったよね」など、悪い意味でのサプライズ評価は評価納得感が下がるどころか、モチベーションの低下、離職にもつながりかねません。
日常の対話を積み重ねていれば、評価は“結果の確認”に近づき、評価納得感は次の成長エネルギーへと変わっていく。
まさに、事業成長につながる運用の本質が語られた瞬間でした。
失敗談にこそ、実務の知恵が詰まっている

最後のテーマは、「人事制度に関する失敗談」です。
秋元から語られたのは、「成果評価+コンピテンシー評価=100点になるような設計をした時に全然うまくいかなかった」という話です。
具体的には、成果評価が曲者とのことで、特に新規事業や非連続の成長を求めてかなりストレッチした数字目標を掲げた組織である場合、成果のボラが非常に起こりやすく、成果の極端な評価に引っ張られすぎて、適切や妥当とはほど遠い評価結果になってしまったとのこと。
本導入前の仮運用時点でその事象にぶつかり、本導入時はやり方を変えたので、実際のネガティブな影響はなかったものの、失敗ですぐに頭に浮かぶくらい勉強になったできごとでした。
この秋元の話に対して宮本氏からは、「部署や職種ごとの“重み付け”を、もっと意識すべきだった」という振り返りが共有されました。
秋元は成果評価:コンピテンシー評価=100%が難しいので、「成果評価だけ、コンピテンシー評価だけの点数で評価や処遇反映を行った方がいいのでは」といった話がされたのに対し、宮本氏からはその成果とコンピテンシーのウエイトではなく、「部署ごと・職種ごとの違いによって重視すべきは何かということに対するウエイト付け(重み付け)を本来はやった方がいいのでは」とのことでした。
確かに、ウエイトが高い評価項目は重視していることが明確で育成観点でもどこをがんばるのがよいかが本人としてもわかりやすいですね。
成功談以上に、失敗の背景や学びを率直に語る時間に、参加者の関心も一層高まっていました。
質疑応答
会場ではたくさん手があがり、かなりの盛り上がりを見せていましたが、ここでは1つだけお伝えします。
来場者の方「先程のセルフチェックシートは他の職種などでも作られているのでしょうか?」
宮本氏からはCSだけであること、また、評価という観点でいうと、あそこまで細かく知識・スキルをチェックするようなものでなく、むしろ、特に初期設計はあえて「シンプル+余白あり」にしておいた方がよいとの回答をされていました。理由は、シンプルで変化に対応しやすいからです。
セルフチェックシートはあくまで育成に重点がおかれたものであり、処遇に反映される評価基準は「シンプル+余白あり」位の状態であった方が、特に変化の激しい会社や事業の初期フェーズには適しているとのこと。
他にもどういった質疑応答がなされるのか、ご興味あれば、ぜひ今後も定期的に開かれるFirstHRのリアルイベントにぜひご参加ください。会場にいるからこそ聞ける内容もあります。
参加者の声(アンケートより)
本イベントは 満足度100%(うち7割以上が「大変満足」) という結果に。特に多く寄せられた声をご紹介します。
- 人事制度の“リアルな悩み”が聞けて実践的だった
- 設計から運用まで体系的で、有料級の内容
- 行動評価・育成につなげる運用がすぐ現場で使えそう
- 事業成長視点で制度を考える重要性を再認識できた
おわりに
人事と事業、その両方を経験してきた実務家だからこそ語れる「事業成長につながる人事制度」 の本質。
参加者からは 「明日から現場で使える」「制度改定のヒントが得られた」といった声が多く寄せられ、非常に実りある時間となりました。
FirstHRは今後も、企業の人事・組織課題に真正面から向き合い、人事制度設計の構築や運用の支援を通じて、事業成長に貢献してまいります。
次回のイベントも、どうぞご期待ください。

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執筆者
FirstHR編集部
FirstHR編集部は、人事制度設計や評価運用をはじめとした人事領域に関する情報を発信しています。 実務に活かせる学びや考え方を大切にしながら、企業や人事担当者の皆さまに役立つコンテンツをお届けしています。