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【評価制度の課題調査】目標設定しても約4割が「やりっぱなし」?評価プロセスの形骸化が社員に及ぼす影響とは

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社員のモチベーションを高め、人材の定着を図るうえで、「人事評価」は欠かせない仕組みです。とりわけ中小企業においては、評価に対する社員の納得感が、組織の活力を左右する重要なカギにもなり得ます。

そこで、目標設定からフィードバックに至る評価プロセスの運用実態とその影響について把握するため、正社員数10名~100名未満の企業に所属する20歳~59歳の正社員267名を対象に調査を実施しました。

本調査の結果、目標設定などの制度導入が進む一方で運用が形骸化するケースもあり、その後の評価結果通知の有無によって社員の納得感に大きな差が生じていることがわかりました。

【本調査における主な結果】
・中小企業社員の半数以上が目標設定を実施するも、約4割が評価結果の「説明なし」
・目標設定実施後の、評価結果の通知有無で納得率に約28ポイントの差
・処遇決定に納得するために重要な要素、約4割が「報酬反映ルールの明確さ」と回答

※調査方法や対象者などの詳細については、後述の「調査の実施概要」をご覧ください。

主な調査結果

1.中小企業社員の半数以上(55.9%)が「個人の目標設定」を実施

社員のモチベーションを高める納得感のある人事評価を行ううえで、適切な目標設定はその出発点となります。はじめに、中小企業における「個人の目標設定」の実施状況について質問しました。

直近1年以内の目標設定について、「行った」と回答した割合は55.9%、「行っていない」は42.5%でした。中小企業社員の半数以上が評価の入り口となる目標設定を行っており、制度の土台作りが一定程度進んでいることがうかがえます。

2.目標設定を実施した社員の38.2%が評価に関する「説明・連絡なし」

では、設定された目標は、実際の評価プロセスでどのように運用されているのでしょうか。次に、目標設定を「行った」と回答した社員を対象に、会社からの評価結果に関する連絡や説明の状況を集計しました。

「評価結果の通知があり、面談(対話)が行われた」と回答した割合は36.5%、「評価結果の通知(簡単なコメントや書面)だけあった」は25.3%でした。

一方で、「給与・賞与の決定に関する連絡は何もなかった(21.7%)」と「給与や賞与の額は伝えられたが、評価に関する説明やコメントはなかった(16.5%)」を合わせた、評価に関する説明を受けていない割合は38.2%に上ります。

目標設定を実施したものの、約4割の社員にはその結果がフィードバックされておらず、「やりっぱなし」の状態になっている社員が一定数存在することがわかります。目標設定という入り口は構築できているものの、その後の対話や運用に課題を残すケースも少なからずあるようです。

3.「目標設定あり・評価通知あり」層の納得率は80.9%、「評価通知なし」とは28.2ポイントの差

次に、こうした形骸化した状態が社員の心理に及ぼす影響について見ていきます。現在の評価に対する納得率を、「目標設定なし」「目標設定あり・評価通知なし」「目標設定あり・評価通知あり」の3つのグループに分けて比較しました。

「非常に納得している」と「やや納得している」を合わせた納得率は、「目標設定なし」の層で28.3%、「目標設定あり・評価通知なし」の層では52.7%となり、目標設定の実施により大きく上昇しています。

一方で、「目標設定あり・評価通知あり」の層では納得率が80.9%に達しており、評価通知を行うことで、さらに約28ポイントの大きな上昇が見られました。

目標設定の機会を設けること自体も、納得率の向上に寄与しているといえます。しかし、評価への納得感をさらに高めるためには、目標を立てて終わりにするのではなく、最終的な評価結果の通知や対話といった「運用」までをやり切ることが重要になると考えられます。

4.目標設定を行う社員の40.8%が「報酬反映ルールの明確さ」を重視、給与額を上回る結果に

では、すでに目標設定を行っている社員は、自分への評価や処遇が決まるプロセスに何を求めているのでしょうか。「給与・賞与の金額」や「昇格の結果」に心から納得するうえで何が重要だと思うか質問しました。

「評価結果が給与・賞与額にどう反映されるかが明確であること」が40.8%で最多となりました。次いで、「給与・賞与の金額が高いこと(38.5%)」、「評価結果に対するフィードバック(理由の説明)が十分にあること(31.7%)」、「どんな成果・行動で評価されるかの基準が明確であること(31.0%)」と続いています。

一般的に働くうえで金銭的な処遇が重視されやすいなかで、給与額の高さよりも、評価がどう報酬に結びつくかというルールの明確さを求める声が上回る結果となりました。さらに、十分なフィードバックを重視する声も上位に並んでいます。

これらの結果から、社員の深い納得感を引き出すためには、単に結果や金額を提示するだけでなく、どのようなルールに基づいているのか、なぜその評価になったのかといった評価プロセスの透明性と丁寧な説明が強く求められているといえそうです。

まとめ:評価プロセスの分断を防ぐ、一貫した仕組みづくり

今回の調査から、中小企業において評価の入口となる目標設定が実施されている反面、結果を伝える対話やフィードバックが伴わず、「やりっぱなし」となるケースもある現状が見えてきました。運用の形骸化が評価への不満につながり、社員の納得感を損なう要因となる可能性があります。

また、社員の処遇に対する納得感を高めるうえで、自身が受け取る給与・賞与の金額だけでなく、それが決まるルールの透明性についても重視されていることがわかりました。基準が曖昧な状態では、フィードバックの不足と相まって、組織に対する不信感を招くことも考えられます。

人事評価制度を通じて社員のモチベーション向上や人材の定着化を実現するためには、評価ルールの共有と、結果を伝える丁寧な対話をセットで回していくことが重要です。制度と運用を分断させず、一貫した仕組みとして機能させることが、社員が心から納得できる評価プロセスを実現するカギとなるでしょう。

本調査結果をそのまま転載する場合を除き、調査結果の内容・グラフ・データなどを引用される場合は、出典元として本記事のURLをご記載いただくようご協力をお願いいたします。

調査の実施概要

調査機関 :自社調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:日本全国
対象者  :正社員数10名~100名未満の中小企業に所属する20歳~59歳の正社員
調査期間 :2026年3月3日~10日
有効回答 :267名

※人事評価の現状を正確に把握するため、調査対象者は直近1年間に人事評価または給与・賞与の決定(現状維持を含む)の機会があった方に限定しています。
※本調査では、労働力調査および事前スクリーニング結果から推計した「正社員数10名~100名未満の中小企業に所属する正社員」の性年代別構成比に合わせて、ウェイトバック集計を行っています。

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