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エンゲージメントを高める人事評価とは?〜人事評価とエンゲージメントの関係性から考える人事制度設計・評価運用におけるポイントについて〜

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こんにちは、FirstHR編集部です。
2026年2月25日(水)、FirstHRとWevoxの共催セミナー「エンゲージメントを高める人事評価とは? 人事評価とエンゲージメントの関係性から考える人事制度設計・評価運用におけるポイントについて」を開催しました。

本セミナーでは、エンゲージメントと人事評価の関係性を起点に、エンゲージメント向上につながる制度設計・運用のあり方について議論が交わされました。

人事制度を単なる評価の仕組みで終わらせず、社員の成長と事業成長を支える仕組みとしてどう機能させるのか。経営者・人事担当者にとって実践的なヒントが詰まったセッションの内容をレポートします。

 ※本記事の内容は、すべてイベント開催当日時点の情報です。

登壇者・モデレーター紹介

Professional Studio株式会社

取締役 FirstHR事業責任者 兼 コーポレート担当 秋元 優喜

2010年6月株式会社うるるに入社し、SaaS事業「入札情報速報サービスNJSS」の事業部長、経営管理部長、執行役員 人事総務部長などを経て、執行役員CHRO 兼 人事部長を担当。10名→上場→400名の組織づくりを担う。うるる社時代、10年以上に渡り、事業・組織フェーズの成長にあわせて、適時、人事制度設計/改定を実施。
2023年4月にProfessional Studio入社後は、規模感も業種も多種多様な企業様の人事制度の設計・運用の伴走支援を実施。
東京都立大学大学院 経営学研究科修了(MBA)。専門領域は経営組織、ヒューマン・リソース・マネジメント、意思決定

株式会社アトラエ

Wevox事業責任者 森山 雄貴様

2012年に関西大学を卒業後、株式会社アトラエにてエンジニアとして入社。
入社後、求人メディア「Green(グリーン)」の企画・開発に携わる。
2016年より、組織力向上プラットフォーム「Wevox(ウィボックス)」を立ち上げ、多くの企業にて組織づくりの支援を実施。現在はWevox全体のプロダクト戦略や新規開発に携わる。

【モデレーター】

株式会社うるる

人事部 採用・組織開発課 課長 伊藤 妙子様

2019年7月うるるに入社、現在は人事部採用・組織開発課で採用部門の責任者として、採用から成長支援を担い、定着・活躍に至るプロセスに携わる。過去からエンゲージメント向上委員会運営・組織開発アンバサダー制度の推進、社内向けワークショップ等を実施し、全社向けの組織開発を担う。

※ここからは実際にイベント内で話された内容をダイジェストでお届けします!

エンゲージメントと人事評価の関係性とは

最初のテーマでは、そもそも人事評価とエンゲージメントがどのように関係しているのかが議論されました。

森山氏は、エンゲージメントという概念について、かつては職場環境や制度への満足度に焦点が当たっていたものの、現在は個人の心理状態や動機づけ、自己効力感といった要素を含めて捉える必要があると説明しました。不確実性の高い時代において、社員一人ひとりが「この組織で自分は貢献できている」「ここで働く意味がある」と感じられるかどうかが、組織の力を左右するという視点です。

その中で人事評価は、単に処遇を決めるための仕組みではなく、本人の貢献実感や自己効力感に直結するものとして位置づけられました。Wevoxで扱うエンゲージメントのドライバーの中にも「評価への納得感」が含まれており、評価がエンゲージメントに深く関わることが示されました。

これに対して秋元は、「評価そのもの」だけではなく、評価に至るまでのプロセス全体がエンゲージメントに影響すると指摘しました。目標設定、期待値のすり合わせ、成長機会の提供、日々の支援やフィードバック、そして最終的な評価までの一連の流れが、評価への納得感を左右するという考え方です。

評価は期末の一回で突然始まるものではなく、期初からすでに始まっている。この視点は、多くの参加者にとって印象的なポイントだったのではないでしょうか。

評価の納得感を高めるうえで重要なのは「制度」だけではなく「プロセス」

続いてのテーマでは、「どのような評価運用がされていればエンゲージメントが高まるのか」が議論されました。

ここでキーワードになったのが、「納得感」です。

秋元は、人事制度において重要なのは「透明性」「公平性」「納得性」の3つだと整理しました。人事制度、特に評価基準が開示されていることが透明性、ルールに基づいて評価が運用されることが公平性、そして社員がその結果やプロセスに対して妥当だと感じられることが納得性です。

特に納得性については、単に評価結果の説明が上手ければよいわけではありません。評価に至る手続きが妥当であり、本人が「自分は適切に見てもらえていた」と感じられることが重要だと語られました。

その背景として紹介されたのが、分配的公正・手続き的公正といった考え方です。報酬や評価結果そのものに納得できるかだけではなく、「どう決まったのか」「どう評価されたのか」という手続きへの納得が、最終的に職務満足やパフォーマンス、愛着的コミットメントにつながるという考え方です。

この点を踏まえると、評価の納得感は期末の面談だけでつくられるものではなく、日常の対話や運用の積み重ねによって形成されることが見えてきます。

エンゲージメントを高める評価運用の鍵は「期中」のコミュニケーション

では、実際にどのような運用が必要なのでしょうか。

秋元は、評価運用において最も重要なのは「期中」のコミュニケーションだと強調しました。目標設定ももちろん重要ですが、実際に納得感を左右するのは、目標に対してどのように日々向き合い、上司と部下がどのような対話を重ねているかだといいます。

具体的には、月に1回でよいので、上司と本人が振り返りの時間を持ち、今月のGood / More / Next Actionを確認することが大切だと紹介されました。評価基準に基づきながら、本人が次のアクションを考え、上司がそれを記録し、必要に応じてフィードバックする。こうした小さな積み重ねが、期末の評価への納得感を高める土台になります。

逆に、期初に目標だけ立てて、その後は十分な対話がないまま期末評価に入ってしまうと、「なぜこの評価なのか」が説明しづらくなります。本人にとっても、「見てもらえていなかったのに、なぜその評価なのか」という不信感につながりかねません。

評価のフィードバックは、日頃のコミュニケーションの総まとめである。秋元のこの言葉は、本セミナー全体を通じた重要なメッセージの一つでした。

Wevoxの知見から見る「評価の納得感」に影響するもの

森山氏からは、Wevoxで蓄積してきた知見をもとに、評価の納得感と関連性の高い要素についても共有がありました。

特に印象的だったのは、評価の納得感が給与への納得感と連動するだけでなく、日々の称賛やコミュニケーション、キャリアの見通し、挑戦する風土、達成感、やりがいといった要素とも関係しているという話です。

ここで重要なのは、「評価制度だけを整えればよいわけではない」という点です。たとえば、上司が誰をどう称賛しているか、どのように成長機会を与えているか、社員が自分のキャリアをどう描けるかといった、日常の組織運営のあり方も、評価への納得感を左右します。

また森山氏は、評価制度においては、立場や期待値の違いによって受け止め方に差が生じやすいことにも触れました。評価には主観が入りうるからこそ、制度そのものの整備だけではなく、日々の対話やプロセスの積み重ねを通じて、納得感を高めていく運用が重要だと語られました。そのうえで、不信感や評価への違和感をできる限り小さくし、社員が前向きに受け止められる状態を目指すことが大切だという示唆がありました。

ツールをどう活用するか。FirstHRとWevox、それぞれの役割

セッション終盤では、両社のサービスがどのように評価運用とエンゲージメント向上に活用できるのかも紹介されました。

FirstHRについて秋元は、人事制度設計から運用までを支援できる点を紹介。制度設計で定めた評価基準に基づいた、月次面談や評価シートが自動生成されるので、評価納得感に繋がる運用が効率的に実施できる仕組みを提供できると説明しました。

一方Wevoxについて森山氏は、まず組織やチームの状態を可視化することの重要性を強調しました。特に、評価に納得していない人だけでなく、納得している人にも目を向け、その違いを読み解くことが改善のヒントになるといいます。

また、組織づくりには唯一の正解がないからこそ、企業同士が事例や悩みを共有し合う場の価値も語られました。組織づくりは競争ではなく、学び合いの対象であるという視点は印象的でした。

制度を整え、状態を把握し、対話を積み重ねる。その循環を支える手段として、FirstHRとWevoxはそれぞれ異なる重要な役割を果たしていることが伝わるセッションでした。

質疑応答から見えた、評価運用と制度設計の実務ポイント

後半の質疑応答では、制度そのものの設計だけでなく、実際の運用や社内での進め方に関する、より実務的なテーマについても議論が深まりました。

期中のコミュニケーションでは、仕事以外の対話も大事なのか

参加者からは、評価の納得感を高めるうえで、期中のコミュニケーションは仕事に関する対話だけで十分なのか、それとも仕事以外のコミュニケーションも重要なのか、という質問が寄せられました。

これに対して秋元は、まず前提として、評価の納得感を支える土台はあくまで仕事を軸にした対話にあると説明しました。評価基準や目標、現在の仕事ぶりについて日頃からすり合わせていくことが、納得感のある評価につながるからです。

一方で、制度や基準が整っているだけでは十分ではない場面もあります。最終的に本人が評価を受け止められるかどうかには、上司との信頼関係が大きく影響するためです。同じ内容を伝えていても、「この人が言うなら納得できる」と感じられるかどうかで、受け止め方は変わってきます。

その意味で、雑談や日常的な声かけなど、仕事以外も含めたコミュニケーションが信頼関係の土台になることは少なくありません。ただし、期中の対話を毎月の“評価の場”にしてしまうのは避けるべきだという話もありました。大切なのは、その場を点数づけの場にすることではなく、振り返りや期待値のすり合わせ、次に向けた行動確認の場として活用することです。

評価の納得感は、制度や評価面談だけで生まれるものではなく、日々の対話の積み重ねによって形づくられていくもの。そんな実務的な示唆が得られるやり取りでした。

制度設計後の「合意形成」はどう進めるべきか

もう一つ、参加者から挙がったのが、制度設計後の合意形成をどのように進めるべきかという質問でした。人事部内でも立場や役割によって考え方が異なり、さらに事業部や経営層まで含めると、制度に対する期待や課題意識がそろわないという悩みです。

これに対して秋元は、合意形成を進める際には、最初から制度の話をするのではなく、まず各部門や経営層の事業課題を丁寧に聞くことが重要だと説明しました。何に困っているのか、どのような人材が必要なのかを聞いたうえで、そこから制度の必要性を整理していく方が、関係者の納得を得やすくなるからです。

制度設計の議論は、どうしても「どんな制度にするか」という話から入りがちです。しかし実際には、その前段として、各部門が抱える課題や求める状態を把握し、「その課題を解決するにはどのような人材や行動が必要なのか」という視点から整理していくことが欠かせません。そうすることで、制度が単なる人事施策ではなく、事業や組織の課題解決につながるものとして受け止められやすくなります。

また、合意形成は単に全員の意見を丸くまとめることではなく、最終的には経営の意思を軸に決めることも必要だという話もありました。ただし、その意思決定を受け入れてもらうためには、事前にしっかりと話を聞き、「自分たちの課題を理解しようとしてくれた」と感じてもらうことが重要です。

さらに、外部の立場で支援に入ることで、社内だけでは整理しにくい論点を比較的フラットに扱いやすくなるという話も共有されました。制度設計は仕組みをつくるだけではなく、多様な立場の課題をつなぎながら、会社としての方向性を形にしていく仕事でもあることが印象に残るやり取りでした。

まとめ

今回のセミナーを通じて改めて見えてきたのは、人事評価は単なる査定の仕組みではなく、社員の成長実感や組織への信頼、ひいてはエンゲージメントにまで影響する重要な仕組みだということです。

そして、その鍵を握るのは制度の見た目の整備だけではありません。目標設定から日々のフィードバック、期待値のすり合わせ、評価時の対話に至るまで、プロセス全体をどう設計・運用するかが問われています。

「評価の納得感」は、一度の面談で生まれるものではなく、日常のコミュニケーションの中で少しずつ積み上がっていくものです。だからこそ、人事制度を見直す際には、評価シートや等級表だけではなく、現場でどのような対話が生まれているかまで含めて設計することが重要です。

人事制度を、社員の成長と事業成長を支える仕組みとして機能させたい。そんな課題意識を持つ方にとって、本セミナーは多くの実践的なヒントを与えてくれる機会となりました。

FirstHRは今後も、企業の人事・組織課題に真正面から向き合い、人事制度設計の構築や運用の支援を通じて、事業成長に貢献してまいります。

次回のイベントも、どうぞご期待ください。

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