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人事評価の種類|評価軸と手法の違い・自社に合う選び方

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人事制度ノウハウ
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「評価の種類が多すぎて、どれを選べばよいのかわからない」「成果だけを見ていたら、組織の雰囲気が悪くなってしまった」——人事制度の設計や見直しを進める中で、多くの経営者や人事担当者がこうした「評価の種類選び」に頭を悩ませています。

実際、評価基準が曖昧なために自社の評価制度に不満を抱いている社員は少なくありません。何を評価するのかが定まらないまま手法だけを選んでも、会社の求める期待は社員に伝わらず、制度は形骸化してしまいます。

本記事では、人事評価の種類を「何を評価するか」と「どう評価するか」の2つに分けて整理したうえで、事業フェーズや職種特性に応じた評価手法の選び方、そして評価結果を基本給と賞与に適切に連動させるための設計思想まで、実務的なポイントを分かりやすく解説します。

人事評価の種類を理解する前に押さえるべき3つのポイント

人事評価の種類は、整理の枠組みを持たないまま漠然と比較検討しても、自社に適したものを選ぶことはできません。まず、種類を2つに分ける考え方と、評価が制度全体のどこに位置するのかを確認していきます。

「何を評価するか」と「どう評価するか」は別の問題

人事評価の種類を調べると、能力評価や成果評価といった「何を評価するか」という言葉と、MBOやコンピテンシー評価といった「どう評価するか」という言葉が、同列に混同されて解説されているケースが多々あります。

これらは仕組みの階層が全く異なるため、整理しないまま比較検討しようとしても、最適な制度を選ぶことはできません。

整理すると、前者は「評価の軸」であり、後者は「評価の手法」です。たとえば「MBOと能力評価のどちらを導入すべきか」という問いは、評価の対象とそれを測るための測定手法という全く異なる階層の仕組みを混同しており、そもそも比較が成り立ちません。

正しくは、「自社は何を評価したいのか」を先に決め、それを測るのに適した手法を選ぶという順序になります。評価の種類選びは、軸を決めてから手法を選ぶ。この順序を守るだけで、手法選びの迷いは大きく減ります。

人事評価が等級制度・報酬制度と連動する理由

人事評価は、それぞれ単体で存在する仕組みではありません。人事制度は「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つで構成され、この3つが連動して初めて機能します。

設計の順序は「等級 → 評価 → 報酬」です。評価とは、等級で定義した期待に社員がどれだけ応えたかを測る行為であり、期待そのものが定義されていなければ、何を基準に測ればよいかが決まりません。

等級が未定義のまま評価制度だけを導入すると、評価基準が各評価者の主観に委ねられ、同じパフォーマンスであっても評価者によって結果がブレる「不公平な評価」が生じる原因になります。

なお、評価結果は報酬に連動して初めて、社員にとって納得感のあるものになります。評価結果が処遇に反映されない、あるいは反映のルールが不明瞭な状態のままでは、社員の成長意欲を削ぎ、制度に対する不信感を生む原因となります。

評価の種類選びが制度の質の大半を決める

どの評価を選ぶかは、単なる手法の選択ではありません。「自社は社員の何に対して報いるのか」という表明であり、社員にとっては会社からのメッセージになります。

たとえば、成果のみを評価する制度は「結果さえ出せば認められる」というメッセージになり、行動を評価する制度は「プロセスや企業理念に沿った正しい行動が求められる」というメッセージになります。

どちらが正しいということではなく、自社の事業戦略と、そこから導かれる「求める人材像」に沿っているかどうかが判断の基準になります。評価の種類は、他社の制度を借りてくるものではなく、自社の求める人材像から逆算して選ぶものです。

何を評価するか:人事評価の3つの基本軸

人事評価の軸は、一般的に「能力」「成果」「情意」の3つに整理されてきました。これらは「仕事のプロセス軸」に沿って、社員が持っている「能力」を正しい「行動」に変え、最終的な「成果」を生み出すという一連の流れで体系的に捉えたものです。以下にそれぞれの特徴を整理します。

評価軸

何を測るか

測りやすさ

主な注意点

能力評価

職務を通じて身につけた能力

低い(目に見えにくい)

保有能力と発揮能力の区別がつきにくい

成果評価

一定期間の業績・目標達成度

高い(数値化しやすい)

結果だけを見ると進め方の問題を見逃す

情意評価

業務への姿勢・意欲・協調性

低い(主観が入りやすい)

印象評価になりやすい

能力評価:業務遂行に必要なスキル・知識を評価する

能力評価とは、職務を遂行するうえで身につけた能力を測る評価です。企画力、判断力、折衝力といった項目が対象になり、「何ができるようになったか」を見ます。

長期的な育成と相性がよく、成果が出るまでに時間がかかる職種でも評価しやすい点が利点です。一方で、能力は目に見えないため、測定が難しいという課題があります。

とくに「資格や知識は保有しているものの、実際の業務で発揮されていない」という状態をどう扱うかは、運用上の大きな論点になります。

評価制度においては、単なる保有能力の有無ではなく、それらが「業務への貢献として発揮されているか」を客観的に測定する設計にすることが不可欠です。

成果評価:期間内の業績・目標達成度を評価する

成果評価とは、一定期間に出した業績や目標の達成度を測る評価です。「何を成し遂げたか」を見るもので、売上や契約件数のように数値で表せる項目が中心になります。

定量的に測れるため、評価の根拠を示しやすく、社員の納得を得やすい点が最大の利点です。ただし、結果だけを重視すると、強引な進め方でチームを疲弊させた社員が高く評価されてしまう可能性があります。

また、成果が出るまでに時間がかかる仕事や、数値化しにくい職種に成果評価をそのまま適用すると、評価に不公平が生じます。こうした歪みを防ぐためにも、業績評価だけでなく、そこに至るプロセスを見る「行動評価」と適切に組み合わせることが重要になります。

情意評価:業務への姿勢・意欲・協調性を評価する

情意評価とは、業務に取り組む姿勢や意欲が行動に表れたものを測る評価です。規律性・責任性・協調性・積極性といった項目が対象になり、「どう取り組んだか」を見ます。

数値で測れない貢献を評価できる点が利点ですが、最も主観が入りやすい軸でもあります。「協調性がある」といった抽象的な基準のままでは、評価者の印象で結論が変わってしまいます。

情意を評価するのであれば、観察できる具体的な行動レベルまで基準を言語化することが前提になります。

なお、昨今の制度設計では、主観に流されやすい情意や目に見えにくい能力を個別に測ることはしません。それらが実際の行動として表れたものを測定する「行動評価(コンピテンシー評価)」に統合し、業績を測る「成果評価」と組み合わせる2軸の設計も多く見られます。

どう評価するか:代表的な評価手法4種の特徴と使い分け

評価の軸が決まったら、それを測る手法を選びます。代表的な4つの手法について、それぞれがどの評価軸に対応するのかとあわせて解説していきます。

手法

対応する評価軸

主な目的

注意点

MBO(目標管理)

成果

目標の設定と達成度の測定

全社一律の導入は失敗しやすい

コンピテンシー評価

行動

高い成果を生む行動の再現

基準づくりに最も時間がかかる

360度評価

評価者を多面化する仕組み

一面的な評価の補正

運用難度が高く、責任の所在が曖昧になりやすい

バリュー評価

行動

企業文化の浸透

抽象的なバリューのままでは測れない

MBO(目標管理制度)

MBOとは、期初に個人や部門の目標を設定し、期末にその達成度を評価する手法です。成果評価を運用するための代表的な仕組みにあたります。

MBOの真の目的は、単なる数値や進捗の管理ではなく、本人の意志と組織の目標をすり合わせることで、社員の自律的な行動を引き出す点にあります。

上長からの一方的な目標の通知は、本人の納得を得られないだけでなく、目標が「やらされるもの」になり、達成への当事者意識が生まれません。

また、実務における注意点は、全社一律での数値目標設定に固執しないことです。バックオフィスや新規事業といった成果を数値化しにくい職種や部署において、無理に成果指標を当てはめると、形ばかりの目標が並び制度そのものが形骸化してしまいます。

コンピテンシー評価

コンピテンシー評価とは、高い成果を生む行動特性を基準として、その行動が発揮されたかを測る手法です。行動評価と同じ意味で使われます。

「何ができるか」ではなく「実際にどう行動したか」を見るため、能力評価より測定しやすく、成果が数字で出にくい職種にも適用できる点が利点です。また、評価基準がそのまま育成の指標になるため、評価と育成を同じ軸でつなげられます。

一方で、自社にとっての「高い成果を生む行動(コンピテンシー)」を定義する作業には多大な時間を要します。

実務的には、社内で実際に高い成果を出している「ハイパフォーマー」へのヒアリングや行動観察を通じて、彼らの共通した行動特性を抽出し、言語化していく方法が最も現実的で効果的です。

360度評価

360度評価とは、上長だけでなく、同僚や部下など複数の立場から評価を集める仕組みです。ここまでの3つとは階層が異なり、評価の「軸」ではなく評価する「者」を多面化する仕組みにあたります。

上長一人では見えない側面を拾える点が利点ですが、運用の難度は高く、導入は慎重に判断すべき手法です。評価者が増えることで、処遇決定の責任の所在が曖昧になり組織の統制を損なうリスクがあります。

そのため、処遇の決定に直接使うのではなく、まずは本人へのフィードバックや育成の材料として活用するのが安全です。

バリュー評価

バリュー評価とは、自社が掲げる行動指針(バリュー)に沿った行動が取れているかを測る手法です。行動評価の一種にあたり、企業文化の浸透を狙いとします。

社員数が少なく、まだ精緻な評価制度を持たない段階でも導入しやすく、創業期のスタートアップと相性がよい手法です。ただし、バリューが「誠実であること」のような抽象的な言葉のままでは評価できません。

バリューごとに、どういう行動が該当するのかを具体化しておく必要があります。

評価の種類を組み合わせるときの設計思想

評価は、1つの種類だけを選ぶものではありません。複数を組み合わせるときの考え方と、結果を処遇にどうつなげるかを解説していきます。

成果評価だけに偏ると組織が歪みやすくなる理由

成果評価は数値という客観的な指標で測定できるため社員の納得を得やすく、これ単体で制度を設計したくなる傾向があります。しかし、成果評価のみに偏った制度設計は、結果として組織の健全な成長を阻害する歪みを生む原因となります。

第一に、成果に至る進め方が問われなくなります。極端な例ですが、仮に業績だけで評価すると、成果は出したものの強引な進め方で周囲を疲弊させた社員に高評価がついてしまう可能性があります。

第二に、短期的な成果に意識が偏りやすくなることがあります。数字が出るまでに時間がかかる仕事や、他のメンバーを支える働きが評価されにくくなり、その結果、目先の成果にのみ注力しやすくなります。

第三に、育成につながりにくくなります。成果はあくまでも結果であり、そこに至る行動が言語化されていなければ、評価をしても「次に何を改善すればよいか」が本人に伝わりにくくなります。

成果評価と行動評価を両立させる考え方

こうした偏りを防ぐのが、成果評価と行動評価を組み合わせる2軸の設計です。成果評価で「何を成し遂げたか」を測り、行動評価で「どう取り組んだか」を測ることで、結果と進め方の両方に目を向けられます。

組み合わせるときは、等級と職種でウェイトを変えます。数字への責任が大きい上位等級ほど成果評価の比重を上げ、これから能力を伸ばす若手・一般層では行動評価の比重を上げるのが基本の考え方です。

たとえば一般層では「行動評価7:成果評価3」のように行動プロセスを重視し、管理職は「行動評価4:成果評価6」のように業績への責任を厚くするといった配分が一例になります。

職種でも、営業のように成果が数値で明確な職種は成果を厚く、管理部門や研究開発のようにプロセスの質が結果を左右する職種は行動を厚くします。

もっとも、この比率に絶対的な正解はありません。自社の事業戦略と求める人材像に照らして決めるものであり、他社の配分をそのまま持ち込むと、自社が大切にしたいことと制度にずれが生じる可能性があります。

評価結果を基本給と賞与にどう反映させるかの基本パターン

結論から言えば、行動評価は基本給に、成果評価は賞与に反映するという切り分けが合理的です。

行動評価が測るのは、再現性のある働き方です。一度身についた良い行動は翌年以降も継続して発揮されるものと捉え、毎月固定で支払われベースとして積みあがっていく「基本給」に反映するのが自然です。

一方の成果評価は、その期に出した結果を測るものであり、年度によって変動します。変動する成果を基本給に乗せてしまうと、翌年に成果が落ちても給与を下げることができず、総人件費が硬直化します。単年度で変動する成果は、その期ごとに支給額を調整できる賞与で報いるほうが合理的です。

この切り分けは、社員に対して「継続的に正しく行動すれば基本給が上がり、成果を出せば賞与で報われる」という明快なメッセージになります。逆に、反映のルールが曖昧なままだと納得感は大きく損なわれます。

実際、評価に納得していない社員は約4割(41.4%)存在し、その多くが評価の反映ルールが不明瞭であることを理由にあげています(出典:FirstHR「人事評価の納得感調査」)。

なお、どの評価をどの処遇に、どの程度反映するかという設計は、実際に社員を当てはめて試算してみないと妥当性を判断できません。初回は専門家に伴走してもらって反映ルールを検証し、2回目以降の改定から内製化していく進め方であれば、初年度からの手戻りを防げます。

自社に合う評価の種類の選び方

最後に、自社に合う評価をどう選ぶかを、事業フェーズ・職種・運用の3つの観点から解説していきます。

事業フェーズで選ぶ(創業期・成長期・成熟期)

評価の種類は、組織の規模と成熟度によって最適解が変わります。制度づくりの鉄則は「シンプル・イズ・ベスト」であり、フェーズに合わない精緻な制度は運用できずに形骸化します。

フェーズ

人員規模の目安

評価の最小構成

創業期

〜30名

バリュー評価を中心に、簡易な目標設定を組み合わせる

成長期

30〜100名

行動評価と成果評価の2軸を整備し、等級と連動させる

成熟期

100名〜

職種・等級別に評価方法とウェイトを最適化し、運用を標準化する

創業期は、そもそも評価する母数が少なく、経営者が全員の働きぶりを把握できます。この段階で精緻な制度を作るより、カルチャーの浸透を狙ったバリュー評価から始めるほうが機能します。

組織が30名を超えたあたりから、経営者が全社員の働きぶりを直接かつ精緻に把握することが困難になり、評価のばらつきが顕在化し始めます。このタイミングこそ、行動評価と成果評価の2軸を整備し、等級制度と明確に連動させるべきフェーズです。

職種特性で選ぶ(成果が数値化しやすい職種・しにくい職種)

同じ社内でも、職種によって適した評価は変わります。判断の基準は、その職種の貢献が数値で表せるかどうかです。

営業職や販売職のように、売上や契約件数で成果が明確に測れる職種では、成果評価の比重を上げられます。

一方、管理部門やバックオフィス、研究開発のように、成果が数値で表れにくい職種や、成果が出るまでに時間がかかる職種では、行動評価の比重を上げるほうが実態に合います。

数値化しにくい職種に成果評価を無理に導入すると、短期的に測定しやすい一部の指標だけを追うようになり、組織を陰で支える本来重要な業務が評価対象からこぼれ落ちてしまうリスクがあります。

形骸化させないために押さえるべき運用の基本

どの評価を選んでも、運用が伴わなければ機能しません。制度設計は「企画2割・運用8割」と言われるほど、作った後の比重が大きい領域です。

押さえるべき基本は3つあります。

第一に、透明性です。何を、どの基準で評価するのかを事前に開示します。実際、評価基準が明確に理解されている層の納得度は8割超(84.3%)に達する一方、基準がブラックボックス化している層での納得度は24.5%にとどまり、両者の間には約60ポイントもの大差が生じています(出典:FirstHR「評価基準の曖昧さに関する調査」)。

第二に、公平性です。誰が評価しても同じ結論になる状態をつくるため、評価者間で目線を合わせます。

そして第三に、期中の対話です。期末に一度だけ評価するのではなく、期初の目標設定から期中の観察・指導を経て期末の評価に至るサイクルを回します。

もっとも、評価者の目線合わせや期中の運用を、経験者が社内にいない状態で回すのは負荷が大きいのも事実です。

初回は専門家に伴走してもらって評価者研修や期初・中間・期末のサポートを受けながら運用の型を学び、2回目以降の改定から内製化していく進め方であれば、自社に運用の型を確実に定着させ、事業変化にスピーディーに対応できる「自走力」を養うことができます。

まとめ

人事評価の種類は、「何を評価するか」と「どう評価するか」に分けて整理すると、自社に必要なものが見えてきます。本記事の要点を整理します。

  • 評価軸と手法の分離 
    能力・成果・情意という「何を評価するか」の軸と、MBOやコンピテンシー評価という「どう評価するか」の手法を明確に区別し、軸を決めてから最適な手法を選択する
  • 3つの評価軸の性質 
    育成向きだが測りにくい「能力」、納得を得やすいが進め方を見逃す「成果」、主観が入りやすい「情意」のそれぞれの特徴を理解して設計する
  • 手法と軸の対応 
    MBOは成果、コンピテンシー評価とバリュー評価は行動(プロセス)に対応し、360度評価は軸ではなく評価者を多面化する仕組みであると定義する
  • 組み合わせの設計 
    成果評価だけに偏ると短期志向を招き組織が歪む恐れがあるため、行動評価と適切に組み合わせ、等級や職種に応じて評価ウェイトを調整する
  • 報酬への反映ルール 
    再現性のある行動評価は基本給に、単年度で変動する成果評価は賞与に切り分けて反映し、人件費の硬直化を回避する

人事評価は、種類を数多く知っている状態ではなく、現場の「評価スキル」が向上し、公平な運用が定着して、社員が「何を評価されているのか」に納得した時に初めて機能します。

まずは自社の事業戦略と求める人材像に立ち返り、今の自社で運用できる評価のかたちを検討していきましょう。

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