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プロセス評価とは?成果評価・情意評価との違いと機能させる条件

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「数字だけで評価すると、目先の成果ばかりを追う空気が生まれる」「粘り強く動いている社員に、どう報いればいいのか基準がない」——人事評価の設計において、多くの経営者や人事担当者がこうした「成果以外のプロセスの評価方法」に頭を悩ませています。

実際、評価結果に納得していない社員は約4割(41.4%)に達しており、その多くが評価基準の不透明さや、評価が処遇にどう反映されるのかの分かりにくさを理由にあげています。成果という一つのものさしだけで社員を測っている限り、この不満は解消しにくいのが実情です。

本記事では、プロセス評価の定義と情意評価との決定的な違いから、導入しても機能しない企業に共通する3つの原因、そして評価基準の言語化・職種別のウエイト設計・期中の観察記録という機能させるための条件まで、自社の評価制度にプロセス評価を組み込むための実践的な手順を解説します。

プロセス評価とは何か:類似概念との違い

プロセス評価を正しく導入・運用するには、この評価が何を対象にしているのかを、成果評価や情意評価と明確に区別して理解することが不可欠です。一つひとつ定義を整理していきます。

「プロセス評価」の定義:成果ではなく過程を評価する

プロセス評価とは、社員が成果に至るまでにどのような行動をとったのかという過程を評価する仕組みです。売上や達成率といった結果そのものではなく、その結果を生み出すために「何をやろうとし、実際に何をやったのか」を評価対象にします。

この位置づけは、仕事が「能力→行動→成果」という流れで進むことを踏まえると理解しやすくなります。業務に必要な知識やスキルという「インプット」があり、それが日々の行動という「スループット」として発揮され、最終的に業績という「アウトプット」につながります。

プロセス評価は、このスループットの領域において、主観に流されやすい姿勢や意欲ではなく、実際に発揮された「客観的な行動の事実」のみを測定する評価です。

過程を評価対象にする理由は、成果が本人の努力以外の要因に大きく左右されるためです。市況の変化、担当エリアの違い、前任者から引き継いだ案件の状況といった要因は、本人がコントロールできません。

一方で、どう考え、どう動いたかは本人の意思で変えられます。行動を評価対象に含めることで、評価が外部環境や偶然に左右される一時的な結果の判定ではなく、持続的な成長を後押しする育成の材料になります。

成果評価・情意評価・プロセス評価の違い

3つの評価は、測っている対象が根本的に異なります。混同したまま制度に組み込むと、評価基準が重複したり、同じ内容を二重に評価してしまう原因になります。

評価の種類

評価対象

問いの形

測り方

向いている場面

成果評価

一定期間の業績・目標達成度

何を成し遂げたか

数値目標との対比

成果が数値で明確に出る職種

プロセス評価

成果に至るまでにとった行動

どのように取り組んだか

行動の事実の観察

成果が数値化しにくい職種・育成段階

情意評価

勤務態度・意欲・協調性

どういう姿勢だったか

姿勢の観察と本人の申告

規律の徹底が求められる職場

とくに実務で混同されやすいのが、プロセス評価と情意評価です。両者の違いは「観察できる事実を測るのか、内心を推し測るのか」にあります。

情意評価は、意欲・熱意・積極性といった、本人の内側にあるものを評価対象にします。ところが内心は外から直接見ることができないため、評価者は「いつも前向きに見える」「返事が早い」といった印象から推測するほかありません。

この推測が入り込む余地こそが、評価者によって結論が変わる原因です。

これに対してプロセス評価が測るのは、実際に発揮された行動という事実です。「積極性がある」は評価者の印象ですが、「訪問後24時間以内に議事録を顧客と共有している」は、やったかやらなかったかを誰でも確認できます。この違いが、評価の公平性を大きく左右します。

コンピテンシー評価はなぜプロセス評価に分類されるのか

コンピテンシー評価(高い成果を生む行動特性に基づく評価)は、プロセス評価を実務に落とし込むための最も代表的な手法です。この手法がプロセス評価に分類される理由は、評価の対象が「能力の保有」ではなく、実際の業務において「発揮された行動の事実」だからです。

どれほど優れた知識やスキルを保有していても、それを行動として周囲や業務に還元できていなければ、高い評価にはつながりません。「持っている能力」が「成果を生み出す行動」へと正しく変換されているかという、過程そのものを測定する点に本質があります。

実務においてコンピテンシー評価を設計する際、極めて重要になるのが「どのような行動を評価基準にするか」という評価項目の策定です。他社の項目をそのまま借用してしまうと、自社の事業戦略やカルチャーと無関係な制度となり、形骸化を招きます。

自社に適した基準を作るには、社内で実際に高い成果を継続して出している「ハイパフォーマー」へのヒアリングや行動観察が効果的です。彼らに共通する優れた行動特性を抽出し、経営陣も交えて、事業戦略やバリューと照らし合わせながら言語化を進めていきます。

言語化する際に重要なのは、正しい表現を選ぶことよりも、社内で伝わる言葉になっているかどうかです。評価基準の言葉は、自社ならではの「共通言語」として定義されていて初めて、現場の社員を動かす力になります。

なぜプロセス評価が必要とされているのか

プロセス評価が求められる背景には、成果だけを測る設計が抱える構造的な限界があります。組織に生じる歪みと、成果が出にくい状況での評価という2つの観点から整理します。

成果主義が行き過ぎると組織に起きること

成果評価は、数値で示せるため納得を得やすい評価です。ただし、成果だけに評価を寄せると、組織には次の3つの歪みが生じます。

第一に、社員の視野が短期に偏ってしまう可能性があります。評価期間内に数字が出る施策だけが選ばれ、成果が出るまで時間のかかる新規顧客の開拓や、若手の育成といった投資的な仕事が後回しになります。

これらは中長期の業績を支える非常に重要な活動であるにもかかわらず、評価されないという理由から、社員が自発的に取り組まなくなってしまいます。

第二に、数字は出したものの進め方に問題がある社員を、高く評価しやすくなってしまいます。

強引な受注や、他部署への協力を一切しないといった働き方が結果として容認されてしまうと、周囲の社員は「あのプロセスでも、数字さえ出せば評価されるのだ」と受け止めてしまいます。組織のカルチャーは、掲げた理念ではなく、実際に高く評価された人の行動によって形づくられます。

そして第三に、成果の再現性が組織に残りづらくなります。なぜその数字が出たのかというプロセスが評価の対象になっていないため、成功が個人の中に閉じたままになり、他のメンバーに展開されないまま終わってしまう恐れがあります。

こうした状態は、社員の側からも問題として認識されています。評価結果に納得していない社員は約4割(41.4%)を占めており、その理由として上位に挙がるのが「自分の成果が正当に評価されていない(30.8%)」という声です。

これは、結果の数字だけを見てそこに至るプロセスを一切見ない評価運用に対し、社員が「努力や工夫を正当に評価してもらえていない」と不満を抱いていることの裏返しと言えます。

成果という結果を正しく評価するためにも、そのプロセスを把握していなければ社員の納得感は得られません。

成果が出ない状況でもプロセス評価が不可欠となる場面:外部環境・新規事業・間接部門

プロセス評価が実務で必要になるのは、成果という指標だけでは社員の貢献度を公平に測れない場面が、どの企業にも存在するためです。代表的なのは次の3つの場面です。

第一に、外部環境が急変した場面です。どれほど本人が尽力しても、外部要因によって数字が届かないことがあります。

たとえば、原材料価格の高騰や取引先の方針転換によって未達となった社員と、特に工夫せずとも市況の追い風だけで目標をクリアした社員を、単に「達成率」だけで比較すれば個人の努力や実力とは裏腹に評価の逆転が生じてしまいます。

こうした場面こそ、状況をどう分析し、どのような代替策を打ったのかという「行動プロセス」を正当に評価する必要があります。

第二に、新規事業の立ち上げフェーズです。立ち上げ期は売上の見通しが立たず、そもそも精緻な成果目標を立てること自体が困難です。

数値目標の達成率が機能しないこの段階では、検証した仮説の数や、意思決定から実行までのスピードといった「行動の事実」を評価の中心に据えます。

新規事業部門においては、制度設計の段階から他部署と一律の比率にせず、成果評価のウエイトを下げてプロセス評価を厚くするといった柔軟な配慮が欠かせません。

第三に、間接部門(バックオフィス)の評価です。経理・人事・情報システムといった部署は、営業部門のように直接的な売上数値を持ちません。

こうした職種では、業務の正確性、期限の遵守、改善提案の実行といった「プロセスの質」そのものが、間接部門における「貢献度の基準」となります。

こうした職種で明確なプロセス評価の基準を設けていない場合、どうしても評価が上長の主観的な印象や好みに左右されやすくなってしまいます。

プロセス評価が「機能しない」典型的なパターンと原因

プロセス評価を導入したものの形だけになってしまう企業には、原因が3つに集約されます。いずれも制度設計そのものではなく、基準の粒度と運用に起因するものです。

評価基準が「積極性がある」「誠実に取り組む」のような曖昧な言葉になっている

最も多いのが、評価項目の言葉が抽象的なまま運用されているパターンです。「積極性がある」「誠実に取り組む」「チームワークを大切にする」といった項目は、一見すると誰もが納得する内容に見えます。

しかし、具体的にどのような行動をもって積極的と判断するのかが定義されていないため、評価基準が各評価者の主観に委ねられ、同じパフォーマンスであっても評価者によって結果がブレる原因になります。

この状態は、社員の成長意欲を削ぎ、制度そのものへの不信感を生みます。実際、自社の評価基準を理解していない社員は約7割(68.0%)を占めています(出典:FirstHR「評価基準の曖昧さに関する調査」)。基準が伝わっていなければ、社員は評価結果を「上長の好み」として受け取るほかありません。

基準の曖昧さは、評価エラーの温床でもあります。一つ良い点が目についただけで全項目を高く評価してしまうハロー効果や、部下との関係悪化を避けるために全体を甘くつける寛大化傾向は、判断の拠りどころが言葉として存在しないときに起こります。

情意評価をプロセス評価と混同して運用している

2つ目は、情意評価の項目をプロセス評価の中に混ぜてしまうパターンです。行動評価のシートに「やる気がある」「協力的である」といった項目が並んでいる場合、測っているのは行動ではなく評価者が受けた主観的な印象に過ぎません。

これでは、中身は従来の印象評価と何ら変わりません。もちろん、企業の秩序を保つために、姿勢や協調性を測る「情意評価」を設けること自体は有効です。

しかし、本人の内面を推し測る情意評価と、外から観察できる事実を測るプロセス評価は、明確に切り離して設計・運用しなければ、制度の公平性は担保できません。

この混同が実害として表れやすいのが、テレワークを取り入れている職場です。「勤務態度が良い」「報連相ができている」といった、目の前で見ていることを前提にした基準は、出社していないメンバーには適用できません。

対処としては、基準を言語化された成果物やプロセスに置き換えます。「報連相ができている」であれば「進捗を所定のタイミングでドキュメントに記録している」と書き換えることで、勤務場所にかかわらず同じ基準で判断できるようになります。

期中に行動を観察・記録していないため期末に評価できない

3つ目は、制度としては整っているものの、評価する材料が手元にないパターンです。プロセス評価は行動という事実を測る以上、その事実が記録されていなければ評価できません。

期末に評価シートを開いて初めて半年間を思い出そうとすると、記憶に残っている直近1か月の出来事だけで判断してしまう期末誤差が起こります。

この状態は、社員から見れば「見ていないのに評価された」という結論になります。実際、目標設定をしたものの、期中や期末に十分なフィードバックや進捗確認が行われない、いわゆる「評価運用の形骸化」に陥っている企業は約4割(38.2%)に上っています(出典:FirstHR「評価プロセスの形骸化に関する調査」)。

期初に目標を立てただけで期中の関与がなければ、プロセスを客観的に評価することは極めて困難になり、制度そのものが形骸化してしまうリスクが高まります。

一方で、期中の関与は納得感に直結します。目標設定を実施している企業では、評価に納得している社員が約7割(70.1%)に達しており、実施していない企業では3割を下回る水準にとどまります(出典:FirstHR「人事評価の納得感調査」)。

プロセス評価が機能するかどうかは、制度の精緻さよりも、期中に上長がどれだけ関わったかで決まります。

プロセス評価を機能させるための3つの条件

機能しない原因の裏返しとして、条件は3つに整理できます。評価基準の言語化、ウエイトの設計、そして観察記録の仕組み化です。

条件1:「行動レベル」まで落とした評価基準を全員に開示する

第一の条件は、評価項目を行動のレベルまで具体化し、その基準を全社員に開示することです。「課題解決力」という項目を置くだけでは判断できないため、等級ごとに期待する行動を文章にします。

一般層であれば「与えられた課題を、周囲と適切に連携しながら期限内にやり遂げる」、リーダー層であれば「自部署の課題を自ら発見し、解決策を提案・実行する」、管理職であれば「全社視点で課題を設定し、部門を横断して解決を主導する」といった形です。同じ項目でも、等級によって期待値が変わることを明示します。

この作業を進める際に注意したいのが、項目を増やしすぎないことです。評価項目は5個程度、多くても10個以内に絞ります。項目が多いほど精緻に測れるように思えますが、実際には評価工数が膨らみ、一つひとつの判断が雑になり、評価者間のばらつきがかえって拡大します。評点は4段階尺度にとどめ、シンプルな構成から始めるのが合理的です。

基準を開示することの効果は、データからも確認できます。評価基準の明文化を求めている社員は8割近く(79.2%)に上っています(出典:FirstHR「働き方の選択調査」)。

また、評価基準が明確な企業では、評価に納得している社員が約8割(84.3%)を占めます。一方、基準がブラックボックス化している企業では、その割合は2割台(24.5%)まで落ち込みます(出典:FirstHR「評価基準の曖昧さに関する調査」)。

評価基準を隠さずオープンに示すことこそが、社員の納得感と安心感を生み出す上で、最も効果的なアプローチの一つとなります。

もっとも、シンプルな構成にすればするほど、どの行動を残しどれを削るかという判断の重みは増します。自社の事業戦略から求める人材像を導き、それを評価項目に落とし込む作業は、経験がないまま進めると項目の借用に流れがちです。

初回は専門家に伴走してもらいながら基準を作り、運用の型が見えた2回目以降の改定から内製化していくことで、自社に運用の型を確実に定着させ、事業変化にスピーディーに対応できる「自走力」を養うことができます。

条件2:職種・役職ごとにプロセス評価と成果評価のウエイトを設計する

第二の条件は、プロセス評価と成果評価の比重を、職種と役職に応じて設計することです。これらを全社一律の配分にすると、特定の職種において無理が生じます。

職種ごとの設計方針はシンプルです。営業・販売のように成果が数値で明確に表れる職種では「成果評価」のウエイトを高くし、管理部門・バックオフィス・研究開発のようにプロセスの質そのものが価値を生み出す職種ではプロセスを測る「行動評価」を厚く設計します。

この配分は、その職種が事業において「どのような価値を生み出しているか」という事実に沿って決定します。

あわせて決めておきたいのが、評価結果を報酬のどこに反映するかです。実務で合理的とされるのは、行動評価は基本給に、成果評価は賞与に反映する設計です。

行動評価が測っているのは再現性のある継続的な働き方であり、翌年以降も続く性質のものであるため、毎月積み上がる基本給に反映するのが自然です。

一方、成果評価はその期の結果であり年度ごとに変動するため、基本給に乗せると下げにくく人件費が硬直化します。この切り分けによって、「継続的に正しく行動すれば基本給が上がり、成果を出せば賞与で報われる」という明快なメッセージを社員に伝えられます。

新入社員・若手と管理職でウエイトはどう変わるか

役職による配分は、組織において負っている責任の違いによって決定します。一般層では「行動評価7:成果評価3」のように行動プロセスを重視し、管理職では「行動評価4:成果評価6」のように業績への責任を厚くするのが一般的な考え方です。

若手のうちは、成果が出るまでの経験値が不足しているため、「正しい行動プロセスを積み重ねているか」を重視して測り、等級が上がるにつれて、最終的な成果に対する責任の比重を高めていきます。

こうしたウエイトの比率に画一的な正解はなく、自社の事業戦略と求める人材像に応じて最適なバランスを定めていくものです。なお、昇格の判断にプロセス評価を使う場合は、合格ラインを一段高く設定しておきましょう。

たとえば、各行動評価の項目を「4点満点」とし、全体の評価を100点満点に換算して算出する仕組みを考えます。すべての評価項目が期待通り(3点)であれば「75点」となりますが、上の等級への昇格目安は「85点以上」に設定します。

合格水準を超える項目が複数あるということは、一段上の等級で期待される行動をすでに発揮し始めている状態を意味するためです。これにより、昇格後のミスマッチを未然に防ぐことができます。

なお、管理職への昇格については、法的責任の重さや組織に与える影響の大きさから、行動評価の点数に加えて、視座やマインドを確認するための「昇格試験」を設けるのが一般的です。

条件3:期中の観察記録を仕組み化してサプライズ評価をなくす

第三の条件は、期中の観察と記録を個人の心がけに任せず、仕組みとして回すことです。評価は期末に行う作業ではなく、期初の「目標設定」、期中の「観察・確認と指導・育成」、期末の「評価」を通じた通期の活動として設計します。

中核になるのは月次面談です。運用する内容は4つあります。

第一に、成果目標の定量的な進捗を確認します。数字の遅れを早い段階で共有し、期末になって初めて未達が発覚する事態を防ぎます。

第二に、行動目標について、メンバー自身が良かった点と改善点を振り返ります。上長が一方的に指摘するのではなく、本人の言葉で振り返らせることで、基準の理解度もあわせて確認できます。

第三に、その振り返りを踏まえて、次の1か月で何をするかをメンバー自身が決めます。

そして第四に、上長がそれを承認・指導したうえで記録に残します。この記録がそのまま期末の評価材料になるため、評価者は半年前の記憶をたどる必要がなくなります。

自分で決めた行動目標は実行されやすく、さらに上長がそれを承認・見守ることで、本人のモチベーションや自律的な成長意欲が高まります。

月次面談を回している組織では、期末の評価面談はお互いの認識にズレがないことの最終確認の場となるため、社員が期末に評価結果を初めて知って困惑する「サプライズ評価」を未然に防ぐことができます。評価フィードバックは、日頃のコミュニケーションの総まとめとして位置づけるのが理想です。

もう一つ欠かせないのが、評価者側の目線合わせです。評価基準を言語化しても、その解釈が評価者ごとに違えば結果はばらつきます。複数の評価者が集まって評価結果をすり合わせる会議を設け、判断の根拠を共有します。評価の本質は、精緻なマニュアルを作ることではなく、誰が評価しても同じ評価になる状態をつくることにあります。

この運用を軌道に乗せる段階では、評価者研修・期初目標設定サポート・中間評価サポート・期末評価サポートといった支援を活用しながら、初回は専門家に伴走してもらい、2回目以降のサイクルから内製化していく進め方が現実的です。

プロセス評価の導入前に確認すべきこととネクストステップ

プロセス評価は単体で導入しても機能しません。制度全体の中での位置づけと、形骸化を早期に発見する視点を確認しておきます。

プロセス評価単体では機能しない:成果評価との組み合わせ設計が前提

プロセス評価を検討する企業の多くが、評価手法の選択という入口から入ります。ただし、人事制度は等級制度・評価制度・報酬制度の3つが連動して初めて機能する仕組みであり、評価だけを切り出すと制度が宙に浮きます。

設計の順序は「等級→評価→報酬」です。評価とは、等級で定義した期待にどれだけ応えたかを測る行為であるため、等級が先に決まっていなければ基準の水準を定められません。

等級が未定義のまま行動基準だけを作ると、「どのレベルの行動を期待するのか」が評価者の感覚に委ねられ、基準を言語化した意味が失われます。等級の考え方は等級制度の作り方で、評価制度全体の設計手順は評価制度の作り方で解説しています。

そして、運用を開始する前に仮評価シミュレーションを実施します。仮評価シミュレーションでは、既存社員を新しい基準でテスト評価し、現行の処遇との差が許容範囲に収まっているか、評価されるべき社員が低いスコアになっていないかを確認します。

仮評価による事前の検証を怠ると、導入初年度に本来高く評価されるべきエース社員が不当に低い評価を受けてしまうなど、制度設計上の不整合が生じるリスクが非常に高くなります。設計から仮評価までを最小構成で組み立て、初回は専門家に伴走してもらいながら一度サイクルを回し、2回目の改定から内製化に移行する進め方であれば、制度を複雑にしすぎずに運用を定着させられます。

プロセス評価が形骸化しているサインとは

導入後にプロセス評価が形だけになっていないかは、次の4つのサインで判断できます。

一つ目は、全員の評点がほぼ同じ水準に集まっている状態です。差をつける根拠を評価者が持てないときに起こる中央化傾向であり、基準が行動レベルまで落ちていないことを示します。

二つ目は、評価コメントが毎期ほぼ同じ文言になっている状態です。期中の観察記録が手元になく、その場の印象で書かれていることの表れであり、本人にも「見られていない」と伝わります。

三つ目は、評価結果が昇給や賞与にどう反映されたのかを、上長が社員に説明できない状態です。反映ルールが不明瞭なままだと、「評価は良かったのに処遇が変わらない」という不満に直結します。

四つ目は、評価シートが期末にしか開かれていない状態です。目標設定と期末評価の間に何も対話の形跡が残っていなければ、プロセスを評価する制度としては形骸化していると言わざるを得ません。

このように、プロセス評価の本質は「できていない粗を指摘する」ためではなく、「何をどう変えれば次の成果や評価につながるのか」を本人に示し、前向きな行動を促すためのものです。

そのため、万が一評価結果が振るわない社員への対応として、降格・降給の基準を併せて設ける場合であっても、その位置づけは明確にしておく必要があります。降格は決して単なるペナルティではなく、あくまで対象者の「育成」を前提とし、極力発生させないためのセーフティーネットとして慎重に設計・運用されるべきものです。

プロセス評価は、できていない点を指摘するための仕組みではなく、何をどう変えれば評価が上がるのかを本人に示すための仕組みとして運用します。

まとめ

 プロセス評価を機能させるには、精緻な制度設計だけでなく、現場での正しい運用と評価者の目線合わせが不可欠です。本記事の要点を整理します。

  • プロセス評価の定義
    成果に至るまでにとった行動という客観的な事実を評価対象にする仕組みであり、意欲や態度を推し測る情意評価とは明確に区別する。
  • 成果評価との関係 
    プロセス評価は単体では機能しないため、結果を客観的な数値で測定する成果評価と適切に組み合わせて設計することを前提とする。
  • 機能しない3つの原因 
    評価基準の曖昧さ、情意評価(姿勢ややる気)との混同、そして期中における行動観察と記録の不足が制度の形骸化を招く要因。
  • 機能させる3つの条件 
    行動レベルまで具体化した評価基準の全社開示、職種や役職に応じた適切なウエイト設計、月次面談等を通じた期中の観察記録の仕組み化。
  • 報酬への反映ルール
    再現性のある行動評価は基本給の昇給に、単年度で変動する成果評価は賞与にそれぞれ切り分けて反映し、人件費の硬直化を回避する。
  • 導入の設計順序 
    必ず「等級→評価→報酬」の順序を守って設計し、本格運用の開始前に既存社員を当てはめた仮評価シミュレーションを実施する。

プロセス評価は、立派な評価シートを完成させたかではなく、現場の「評価スキル」が向上し、公平な運用が定着して、社員が「なぜこの評価なのか」に納得した時に初めて機能します。

まずは自社の求める人材像と等級の定義に立ち返り、今の自社で無理なく運用できるプロセス評価の形を検討していきましょう。

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